星になった巨大廃工場(ちょっと加筆)
2009年 06月 28日ちょうどその頃、旦那の実家に帰省した時に撮ったけど発表しそこねていた巨大廃工場写真が…
もう2年前なんですよねぇ…
日本セメント門司工場
詳しい解説→http://gazone.morrie.biz/tokusyuu/nippon_cement_mozi.html
九州には炭坑跡とか精錬所とか造船所とか有名な産業遺産が多いのは知っていたのですが、当時、その広大な廃工場を目の当たりにしてかなり興奮しました。え、これ全部廃墟??
とにかく広すぎる!東京ドーム2・3個分はありそう??
観光用のレンタサイクルを乗り回しいろんなアングルから鼻息荒く撮影していると、ウォーキング中の老夫婦の男性に話しかけられたので、お、怒られる!と思いきや、なんと、元社員の方でした。
「こういうの好きなの?」
なるべく不信感を抱かれないように笑顔で元気よく「ハイ」と応えると…
「最近、よく若い人が撮りにきてるよ」と、ニコニコ。
おお、この地方にも廃仲間がいるのか…と内心ホッとしていると。
「ここねぇ日本セメントって言ってねぇ、昔、中で働いてたんだけど…26年前に閉鎖されたんだよねぇ…いつまでもこんな姿さらして恥ずかしいねぇ…情けないねぇ…」
と嘆きながら歩き去って行きました…。
廃墟関連を撮影しててこういった地元の人との交流は初めてだったのでちょっとした感動を覚えつつも、さっきまで無邪気にただ興奮していたけど「廃墟」もその当事者にとっては古傷に触れるようなものなのだ…という自分の無神経な行為に気づいてなんとも複雑な思いで残りのシャッターを切ったのでした。
写真は暴力か…?と思うときがある。
それでも撮らずにはいられない…だって、この風景は永遠ではないのだから。
どこからか犬の吠える声がして日が暮れてきて最初の地点に戻ると金網越しに野犬の姿があった。
これが廃墟探索で「危険」と噂される野犬か…ずいぶんくたびれていて弱々しい…
目が合うとただじっと佇む。
なんとも居たたまれない気持ちになって目をそらし…その場を後にした。
これを書くにあたって「北九州・日本セメント」でググってみたら、やはり色んな方がこの産業遺産にそれぞれの思いを馳せていたようだ。定点観察はもちろん空撮まであった!
そして、それらの記事を辿っていくと、この巨大廃工場は昨年の夏に解体工事がはじまり、現在は更地になってしまったらしい事実に辿り着く。
酷く残念な思いと同時に心の棘が今頃になって抜けたような…やはり撮っておいて良かった。
しかし、あの犬はどこへ行ったのか…あの物悲しい目が今でも忘れられない。
by tosakanekosha
| 2009-06-28 02:55
| 廃墟鑑賞